第11回~サーベイランスについて~

サーベイランスに関する説明について、正しいものの組み合わせはどれか。

a. 能動的サーベイランスは受動的サーベイランスよりも優れている。
b. サーベイは、サーベイランスよりもより短期間で集中的に実施される活動である。
c. 収集した情報を集計・分析することにより、サーベイランスの目標は達成される。
d. サーベイランスの目標は監視活動であるが、モニタリングは観察し、記録することに重点が置かれる。
e. サーベイランスは結果を還元することよりも、継続することが重要である。

1.aとc  2.aとd  3.bとd  4.bとe  5.dとe

答えと解説

【答え】3.

a. 能動的サーベイランス、受動的サーベイランスはともに長所と短所がある。
b. 正しい。
c. 分析結果を解釈・評価して還元し、必要に応じて対策を実施するとともに次のサーベイランスの計画立案に役立てる必要がある。
d. 正しい。
e. サーベイランスの継続性を保つためには、結果を還元することが必須となる。

【解説】
疾病等の対策を目的に、組織的にデータを収集し、継続的にデータを分析し、結果を還元する一連の監視活動をサーベイランスと呼ぶ。サーベイランスの目的は多岐にわたるが、その手法は実施主体が積極的にデータ収集を行う能動的サーベイランスと、野外からの報告ベースによる受動的サーベイランスに大別される。能動的サーベイランスおよび受動的サーベイランスはいずれも長所と短所があり、それぞれを目的に応じて組み合わせて効率的に実施していくことが大切である。また、サーベイランスという用語はモニタリングあるいはサーベイなどと混同して用いられる。ただし、モニタリンクは観察・記録することに主眼が置かれ、サーベイは比較的短期間のうちに集団の状況を知るための調査のことを指し、いずれも対策のための監視を主眼に置いたサーベイランスとは意味合いが異なる。サーベイランスの実施にあたっては、その評価方法も含めて検討しておくべきであり、評価結果を素早く社会に還元することによって、サーベイランスに対する信頼を獲得し、その継続性につながる。
疫学研究におけるサーベイランスついてのより詳細な説明や実例については、獣医疫学会編「獣医疫学-基礎から応用まで-〈第二版〉」(近代出版、ISBN978-4-87402-179-8)の89~93頁を参照されたい。

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