第15回~感染症の疫学(その2)~
感染症の疫学に関する説明として、正しいものの組み合わせはどれか。
a. 不顕性感染とは、免疫が誘起されない感染状況のことを指す。
b. 潜伏感染には持続感染、慢性感染、遅発性感染が含まれる。
c. 流行とは、特定の疾病の発生件数が通常の頻度を超えている状態を指す。
d. 散発的発生は感染力や毒力が弱い病原体によって起こされることが多い。
e. 流行曲線によって、感染源を特定することが可能となる。
1.aとc 2.bとc 3.bとd 4.cとd 5.aとe
答えと解説
【答 え】 4.
a. 不顕性感染においても免疫は誘導される。
b. 潜伏感染は持続感染の一形態である。
c. 正しい。
d. 正しい。
e. 流行曲線そのものが感染源を特定するわけではない。
【解 説】
感染状態の分類の一つに症状の有無によって判定する顕性感染と不顕性感染がある。前者は症状があるもの、後者はないものであるが、病原体は体内で維持されたり、排出されたりする事もあるので、感染源としての注意が必要となる。また、病原体の存在期間による分類として急性感染と持続感染があり、持続感染はさらに潜伏感染、慢性感染、および遅発性感染に分けられる。
疾病の発生件数が通常の頻度を超えている状態を流行と呼ぶ。感染症によっては、共通感染源流行や増殖型流行といった特徴的な流行パターンを示すことが知られている。そのため、疾病の流行時には流行曲線を活用して、発生の様相を逐一確認していくことが、感染症対策を実施する際に極めて重要となる。
感染症の疫学についてのより詳細な説明や実例については、獣医疫学会編「獣医疫学-基礎から応用まで-〈第二版〉」(近代出版、ISBN978-4-87402-179-8)の118~141頁を参照されたい。
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