第8回~因子への曝露と疾病発生の因果関係について~

以下の因果関係に関する説明について、正しいものの組み合わせはどれか。

a. 因果関係を証明するためには、時間性、強固性、一致性、整合性、特異性のうち、一つでも成立していればよい。
b. ある因子と疾病発生の間に真の因果関係があるにもかかわらず、統計学的関連が認められないことがある。
c. 因果関係を時間性の観点から検討できる疫学研究手法の一つに横断研究がある。
d. 因果関係における関連の特異性は、因子への曝露と疾病発生の量反応関係について検討することにより評価できる。
e. 関連の一致性の評価の際には、バイアスに注意する。

1.aとc  2.bとd  3.bとe  4.cとd  5.dとe

答えと解説

【答え】 3.
a. 因果関係に判定は、これらの点、さらに統計学的な関連性も踏まえて、総合的に行う必要がある。
b. 正しい。
c. 横断研究はある一時点の疾病の状況と因子の関連を観察するため、因子が疾病発生よりも前にあること(時間性)は保証できない。時間性を検討できるのは、症例対照研究や、コホート研究などである。
d. 量反応関係について検討すると、関連の強固性が評価できる。
e. 正しい。

【解 説】
 因果関係とは、原因とそれによって発生する結果との関係である。単一の原因で結果を説明できることもあるが(例えば、コッホの条件にもとづく単一病因論(病因一元論)の立場)、今日遭遇する諸問題には、宿主・病原体・環境のより複雑な相互関係を踏まえて因果関係を検討する(多重原因論(病原多元論)の立場)ことが一般的になっている。その際、原則的には、関連の時間性、強固性、一致性、整合性、特異性、および統計学的関連性に留意し、総合的に検討していく必要がある。
因果関係のより詳細な説明や実例については、獣医疫学会編「獣医疫学-基礎から応用まで-〈第二版〉」(近代出版、ISBN978-4-87402-179-8)の65~68頁を参照されたい。

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